日本のパチンコ・パチスロファンが1千万人を初めて切った、そんな調査結果が出た。1995年に比べれば3分の1に減っているのだという。
その原因となっているのは若者をはじめとする新規客が増えないこと。パチンコ業界では数年前から若者を呼び戻すため、パチンコ台に「AKB48」といったアイドルを起用したり、大ヒットアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」「新世紀エヴァンゲリオン」などを大量に投入したりしてきたが、効果は現れなかったという。
■「最近の台はあっという間に3万円くらい簡単になくなる」
日本生産性本部が今夏に発行した「レジャー白書」によれば、ピークだった1995年に2900万人いたパチンコ参加人口が2006年は1660万人に半減し、13年にはとうとう970万人と初めて1千万人を切ることになった。売上(貸玉料)は95年が30兆9020億円に対し、06年は27兆4550億円、13年は18兆8180億円と下がっている。参加人口の減少に比べ売り上げの減少が緩やかなのはヘビーユーザーが増えているためで、1人でたくさんのお金を投じているからだ。この調査結果を見た人たちはネットで、
「最近の台はあっという間に3万円くらい簡単になくなる」
「パチンコ、酒、タバコに関しては金が無いのも原因だと思う」
「今や暇つぶしはパチンコ以外にいくらでも有るからな。」
「今のパチンコって本当につまんないし勝てないからね。ギャンブルどころかレジャーにすらなれない」
などと参加人口が減ったことについて分析している。また、今大流行中のソーシャルゲームにハマる人が増えたからそちらに客を取られた、と考えている人もいる。ソーシャルゲームはゲームを進める上で必要なアイテムやキャラを得るため、「ガチャ」と呼ばれるスロットに課金する。欲しいものが現れるまで何回も回すため数十万円も出費した、などの報告もある。これにカネを吸い取られるためパチンコに行かなくなったというのだ。
あるパチンコ業界関係者は、「レジャー白書」の数字は業界では「信じられない」と考えている人は多いが、客が減少し、特に若者離れが激しいのは事実だ、として匿名で取材に応じた。まず、ここ数年の激しい客離れはパチンコをするのにお金がかかりすぎること。04年に風営法施行規則改正によってギャンブル性の高いパチスロの「4号機」が禁止されて以降は業界も自主規制で射幸心をあまり煽らないようなマシンの開発と設置を進めていたが、これが儲からないことが分かると徐々に射幸心を高める当たりの確率の少ないマシンが増えてくるようになった。客離れが進む一方で一人あたりの遊戯代が増えていった。メーカーの団体と遊技場を経営する団体の思惑が反発しあい、楽しく長く遊べるマシンがファンを増やすというメーカーの主張に遊技場を経営する団体は耳を傾けなかった。都心のパチンコ店は、10年前は席がほとんど埋まり、ドル箱と呼ばれる出玉を入れたケースが客の足元に積み上がっていたが、現在では空いている台が多く、足元に置かれるドル箱は少なくなった。
しかし、業界も客離れに対し手を拱いていたわけではない。若者を呼び戻し既存の客にも満足してもらおうと仕掛けたのが、アイドルやアニメ、ゲームなどのキャラや作品を使ったパチンコ・パチスロ台だ。「AKB48」の起用や、アニメファンなら誰でも知っている「化物語」「咲-Saki-」「魔法少女まどか☆マギカ」といった数多くの作品がパチンコ化された。ファンの間ではかなり話題になっていたが、
「既存の客は楽しんでいたようですが、若者などの新規客を呼べたかというと、あまり関係がなかった。若者にとってパチンコ店は敷居が高いんですよ」
昔は先輩が後輩を連れてきて教えたりしていたが、今はそれがない。アニメファンが一時来ていたのかも知れないが、パチンコファンとして定着していないという。こういったキャラクター物のマシンで新規客が増えたという記憶はない、と業界関係者は話す。唯一、韓流ドラマ「冬のソナタ」をモチーフにした「CRぱちんこ 冬のソナタ」を06年に設置した時には、ヨン様ファンのこれまでパチンコとは縁のなかったオバサン達が大量に入店し、驚いたことはあったが、結局そのオバサンたちもパチンコファンとして定着しなかったという。
ではこのままパチンコ業界はジリ貧に喘ぎ続けるのか、ということだが、業界は昨年から本気になって立て直しに向かっていると業界関係者は説明する。それだけ危機意識が高まっているからで、なにかと反発してきた遊技場経営団体とメーカー団体も協力していくことで話がまとまったという。それが13年8月に設立されたメーカーや遊技場の14団体が加盟する「パチンコ・パチスロ産業21世紀会」で
「業界の復活をかけ、優しく楽しく遊べる遊技場を目指して協議を進めています。新しい展開がこれから続々と出てくることを期待しています」
と業界関係者は話している。
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